桜庭一樹「青年のための読書クラブ」

青年のための読書クラブ

青年のための読書クラブ

『何年前の本だよ』と思われそうですが…
桜庭一樹青年のための読書クラブ」を読みました。
そもそも私が文庫落ちしていないハードカバー小説を普通に購入するはずもなく、ブックオフで投げ売られていたものを購入した訳で…ましてや本棚の肥やしとなって久しいので、もはや新鮮みの欠片もありません。
桜庭一樹と言えば2008年に直木賞を受賞した事が記憶に新しいですが、私は2006年頃から「GOSICK」シリーズを愛読しておりました。(2年前に見たわー、のノリで)
青年のための読書クラブ」は2007年が初版ですので、その後の話題性を鑑みれば、105円で購入できたのは非常に幸運でした。


全体的に平易な内容でそれほど読解に苦労するような局面もなく、ある意味にいて"盛り上がりに欠ける"とも言える内容に反して、文章面では、桜庭一樹特有の妙に芝居がかった、"派手さ"さえ想起させるような文章でした。
とは言え「GOSICK」シリーズの鼻をつまみたくなるようなくどさでは無いので、それほど嫌にはなりませんでした。(そもそもライトノベルレーベルと一般書籍扱いのこれでは無理もないのかも)
"部誌"という体裁をとってるから、でしょうか。

"高校"を舞台にしているにもかかわらず、日陰にスポットライトを当てているからでしょうか、アンニュイな雰囲気の漂う居心地の良い作品でした。
とりわけ特徴的に感じたのが、女性の描き方。
とかく男性作家は女性を清廉に描く傾向が多いように感じますが、女性作家の描く女性は、非常に生々しく圧倒的な存在感を持つように感じます。
(その一方で、女性の描く男性像はややリアリティに欠けるように感じますが…今作ではほぼ登場しないに等しいので割愛)
とりわけ"醜い"をされる少女達の老いた姿さえ登場させた点はうならざるを得ませんでした。

ハードカバーなのにスラスラと読めてしまうので「高っ!!」となってしまうかも。
文庫落ちしていないので商業的にはあまり成功していないのかな。
とはいえ、「砂糖菓子の弾丸は撃ちぬけない」を読んだときに感じた、桜庭一樹の魅力を思い出させるには十部羽な作品。
他の作品も読みたくなったので、探しに行くかも。